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変化を嫌うベトナム人社員
「うちは今、変わらないといけない時なんです。
これまで、ベトナム法人から日本本社に商材を収めていれば事業として成り立っていました。
しかし、今後、停滞する日本市場に期待はできません。
これから伸びゆくベトナム市場に切り込んでいきたいです。
でも、うちの社員、特に昔からのやり方に慣れきったベトナム人社員がなかなか変わろうとしません。どうしたらいいでしょうか?」
これは先日、弊社のお客様からいただいたご相談です。
実は最近、こうした「変化」を必要として研修を検討される企業からのお問い合わせが増えています。
背景として、以下が挙げられます。
- 円安が進み、対日輸出の競争力が弱まっていること
- 同時に、ベトナム経済は年平均6~7%で成長を続けていること
つまり、日々事業チャンスが生まれている(と予想される)ベトナムで何かを仕掛けたい、ということを考え、行動し始めている企業が多いということです。
しかし、言うは易く行うは難し。
いざ自社で実行する際に直面する象徴的なお悩みが、「ベトナム人社員が変化を嫌う」というものです。
今回のコラムでは、このお悩みに対する一つの処方箋を示します。
なぜ変化しなければならないのか
最初に、そもそも「なぜ変化が必要なのか」という問いに答えます。
それは「周囲が変化し続けているから」です。
周囲とは、同業他社や顧客ニーズといった、事業環境の変化のことを指します。
かのブッダが紀元前2500年前に、世は「諸行無常」であると喝破したように、世の中は変化し続けています。
このように世の中が変化し続けているのに、自社、自社スタッフが変化せずに現状維持を続けていたらどうなるでしょうか。
それは「変化する周囲から退化させられる」ことになります。
例えば、ベトナムでは2017年から配車アプリ「Grab 」がサービスを開始しました。
その前は、街中にバイクタクシーが溢れていました。
しかし、今の街中には、バイクタクシーはほぼ姿を消した代わりにGrabの制服を着たバイクで溢れるようになりました。
この変化にうまく適用しようとしたバイクタクシーは、今は生き残っています。
一方で、変化を嫌ったバイクタクシーは今なお、誰も乗らないにも関わらず客引きを続けています。
以上から、「変化すること」は会社でも、個人単位でも常に必要なことであります。
なぜベトナム人社員は変化を嫌うのか
ではベトナム人社員の目線から、この変化を見てみます。
変化をするということは、自身が新たな考え方ややり方をしなければいけないため非常に面倒です。
組織論の考え方の一つに「組織と個人の利益関係」というものがあります。
これは、組織と個人の間には、有形無形の「利益」を相互に感じ、バランスが取れているため繋がっているとするものです。
例えば、有形なものの代表例は給料です。
無形なものの代表例は社内人間関係です。
この観点から「変化」を捉えてみると、社員が変化を嫌う理由がわかります。
それは、組織と個人がこれまで感じていた「利益関係」のバランスを崩すからです。
しかし、組織が変わらないままでいたら衰退していくだけだということは、日本人社長、マネージャー自身が一番良くわかっています。
だからこそ、ベトナム人社員には変化を求めます。
しかし、ベトナム人社員側にとっては「利益関係」のバランスを崩すことになるため、変わりたくない。
それを強要されるなら、辞めてしまうことになります。
どうやってベトナム人社員の変化を促すのか?
それでは、どうしたらいいのでしょうか。
一つの方向性は「教えずに学んでもらうこと」です。
「ん?どういうこと?ふざけているのか」と思われた方がいらっしゃいましたら先に謝ります。
しかし、私は至って本気です。
これまでベトナムで約15年間、ベトナム人向けの人材育成を生業としてきた身として、これは断言ができます。
では「教えずに学んでもらうこと」とはどういうことなのか。以下に説明をします。
大前提として、ベトナム人や日本人といった国籍を問わず、大人は「人から言われて変化したくない」という性質を持っています。
大人、特に社会人経験を数年以上積んできた方たちであれば、誰にでも成功、失敗体験があります。
そして、そこから(誰かに言われるまでもなく)自ら学んできたからこそ、今があると思っています。
だからこそ「他者から何かを言われて変化をしたくない」という性質を持っているのです。
しかし、全く変化したくないかと言われると、そうでもありません。
人間が持つ「成長したい!」という意欲は、人の根源的な欲求の一つでもあります。
皆さんも「成長したいんです!」と入社面接で熱心に語るベトナム人社員には出会ったことはあるでしょう。
では、この根源的な成長意欲=「何かを学び変化したい」と本人が思うにはどうすればいいのでしょうか。
それが「教えずに学んでもらこと」です。
具体的には「本人の業務経験を基に、学んでもらうこと」です。
大人は「他者から言われたこと」ではなく「自分の経験」は信じるものです。
こうした経験を上司からの問いかけによって本人に「振り返り」をしていただくことで、本人が自ら「変化をしたい」という気持ちを徐々に醸成していきます。
もちろん、「業務経験の振り返り」をすれば、すぐに本人の変化が現れるかというと、そんなにすぐには現れません。
しかし、続けていくことで、徐々に変化が現れ、「気がつけば変化していた」となっていくことが理想的な変化と言えます。
事例として、弊社のお客様の中には、こうした振り返りを上司と部下の「1対1面談」を行うことで取り組まれている会社もあります。
そして最近、別の方法に取り組む企業も増えてきました。
それが「グループ面談」と呼んでいる手法です。
このグループ面談は、上司と部下が特別な面談のための時間を取ることなく、既に定例で行っている「週次会議」で活かすこともできます。
グループ面談は、業種業態、企業規模を問わず、誰でもすぐに開始ができ、かつ効果の高い手法になります。
*具体的な手法については、こちらのコラムに書いていますので、ぜひご覧ください。
今回のコラムは以上です。
社員に変化を促すには「教えないで学んでもらう」こと
是非明日から実践してみてください。
また次回のコラムでお会いしましょう。