今週は、ある大手食品企業のベトナム人管理職を対象にした「日本人の働き方理解研修」を実施しました。この研修では、日本とベトナムの働き方の違いに焦点を当て、特に責任感や意見の受け入れ方に関する深い議論が行われました。
Mục lục bài viết
なぜ日本人は自分の責任範囲を超えた仕事を要望するのか?
日本の職場文化では、「チーム全体の成功」が最も重要視されます。個人の役割や責任はありますが、それを超えてチーム全体で目標を達成する柔軟な協力が理想とされています。
これは、日本の「組織の看板を磨く=組織第一主義」が背景にあります。全員が補完し合うことで、組織全体の成果を最大化するという考え方が根付いています。
一方、ベトナムでは、責任が明確に「個人に帰着」する文化があり、自分の役割を超えた仕事を要望されることに対して慎重になる傾向があります。この違いが、両国間での働き方や期待のズレを引き起こしています。
なぜ日本人はベトナム人と積極的に親密な関係を築こうとしないのか?
日本では、「適切な距離感」を保つことがプロフェッショナルな関係の基本とされています。これは、職場での公平性や効率性を保つため、そして仕事とプライベートを明確に分ける文化によるものです。
一方で、ベトナムの職場では「人対人のつながり」が非常に重視され、職場での成功も個人的な関係性を深めることで生まれると考えられています。この違いが、関係構築に対するアプローチのズレを生み出しているのです。
なぜ日本人はベトナム人の意見を積極的に受け入れようとしないのか?
日本では、意見を受け入れる際に「自責の視点」が重要視されます。問題が発生した場合も、自分の役割や責任をまず考えた上で意見を述べることが求められます。こうした意見は、より建設的で解決志向の議論につながると考えられています。
一方、ベトナムでは責任が個人に強く帰着するため、「自責」の意識を持つことが大きな心理的負担となる場合があります。そのため、問題を外部要因や他者の影響として説明しようとする傾向が見られます。この責任に対する認識の違いが、日本人がベトナム人の意見を十分に受け入れられない背景にあるといえます。
ベトナム人と日本人の「責任」と「組織」の見方の違い
ベトナム人:「人対人」の関係性を基盤とし、責任が個人に帰着する
ベトナムでは、個々の関係性が重視され、責任もその人自身に帰着します。そのため、責任を避けることが心理的な負担を軽減する手段となる場合があります。
日本人:「組織対人」の関係性を基盤とし、責任がチームや組織に帰着する
日本では、組織の目標を最優先に考え、責任も最終的には組織全体で共有されます。このため、個々の責任が組織の枠組みの中で処理される傾向があります。
研修のまとめ:責任の違いを理解する意義
今回の研修を通じて、両国の働き方の違いにおける核心は「責任の捉え方」と「組織の見方」にあることを共有しました。日本人の自責の視点と組織の枠組みで責任を共有する文化、そしてベトナム人の個人に帰着する責任感は、いずれもそれぞれの社会的背景に根差したものです。この違いを理解し合うことが、異文化間の摩擦を減らし、よりスムーズな職場環境を作るための第一歩です。今後も、このような研修を通じて、異文化間での理解を深め、互いの働き方の橋渡しを進めていきたいと思います。