ベトナム人部下が思い通りに動いてくれない。。。!
「人は明確な目標を与えれば、その達成に向けて動いてくれるものだと思っていました」
この感想は、ベトナム人の営業組織を束ねる日本人CEOからの言葉です。
こちらの会社は、2年前より、業界ではNo1のベトナム企業を買収し、日系企業となりました。その後、新たに日本人CEO(=Aさん)がベトナムに赴任し、事業推進を担当することになりました。実際に赴任をしてみると、その実態は多くの改善が必要でした。
例えば、数字管理ができていない、情報共有がない、特定の売れる営業スタッフが好き放題に営業している。。。結果、社員の離職率が高すぎるなど、組織として成り立っていないことが判明したのです。
更に、業界No1まで押し上げた商品も、競争力を失いつつあり、向こう3年で商品寿命が尽きるということも判明しました。
「これはまずい。早急な立て直しが必要だ」
そう判断したAさんは、組織改革に乗り出しました。
- 明確なターゲティング(=自分たちの顧客の明確化)
- ターゲットに合わせた商品開発
- 徹底した目標&進捗管理
Aさんは、赴任早々に、こうした方針をベトナム人社員に共有しました。
社員側も、「何か変わりそうだ!さすが日系企業だ!」と賛同をしてくれました。
「これはうまくいくに違いない。。!」
Aさんは当初、そう思っていたと言います。しかし、、、、
成功体験がベトナムでの「ピントのズレ」を引き起こす
1年後、Aさんは行き詰まっていました。
「ターゲットも、目標も商品もすべて揃えた。にも関わらず、営業スタッフが思い通りに動かない。。。!なぜだ?」
そんなタイミングで弊社に声をかけていただき、この課題解決に向け、伴走をさせていただくことになりました。
営業現場の担当者、担当マネージャー一人ひとりにインタビューをした結果、驚くべき意見が出てきました。
一言でまとめますと、
「A社長の言うことは正しい。でも、私たちには合わないし、怖いんだ。」
です。具体的には以下の意味です。
- A社長が言うことは、論理的には正しい。
- しかし、求められるレベルが高すぎて、自分たちには出来ない。
- 出来ないことをA社長から求められ続けるので、やろうとは思うが、
出来なくて自信を失ってしまう。働くのが怖くなってしまう。。
こうしたベトナム人スタッフからの声をまとめ、A社長に報告したところ、いただいた感想が冒頭の「人は明確な目標を与えれば、その達成に向けて動いてくれるものだと思っていました。。」です。
Aさんは日本では社内でも評判の営業マネージャーでした。
自身も営業担当者のときには、全社トップクラスの営業成績を挙げ、誰もが認める営業スキルを持った方でした。
しかし、その成功体験から示される数々の施策は、ベトナム企業のベトナム人営業スタッフにとっては未知なものであり、未経験なものばかりでした。
それを、いきなり「やりなさい」と指示をされても、ベトナム人営業担当どころかマネージャーでもできるわけがありません。
その結果、働けば働くほど「できない→恐怖を感じ動けない」という状態に陥っていました。
ここまでご覧いただいた皆様の中には
「自分はそんなことはしないよ。」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これは、どなたでも起こりうる話です。
特に、日本や他国での「成功体験」を持っている方は知らず知らずの内に、この成功体験を、ベトナムでも当てはめようとしてしまうのです。
例えば、「日本のように製造現場では他者、他部門の人が困っていたら積極的に助け合ってほしい」
「日本のように”おもてなし”の精神を持って、顧客対応に当たってほしい」などは、よくいただくご相談です。
しかし、これらは、日本という特殊な文化、商習慣があって初めて成り立つことであり、背景が全く違うベトナム人相手では、極めて成り立ちにくいことです。
ベトナム人スタッフと「ピント」を合わせるために
ではAさんはその後、どのような対策を打ったのでしょうか。
ベトナム人スタッフにとって「未知」「未経験」=「恐怖」の状態を「既知·経験済」=「喜び」に変えることでした。
具体的には、A社長が見ている経験、持っている知識を実務を通じて、ステップバイステップで身につけて頂く仕組みづくりです。
例えば、
・ターゲットとしている既存のお客様へのグループでの訪問及び
お悩みや当社に期待することを直接ヒアリングを行う。
・お客様が求める営業スタッフ像の書面での明確化
・理想的な営業スタッフになるための、育成ステップの明確化
・育成ステップに沿った、営業スタッフへの定期的な教育
などです。
ここでのポイントが「会社としての目標·方針はぶらさない」ことです。
A社長も、会社が未来に向けて向かうべき目標や方針はブラしていません。
なぜなら3年~5年先を見据えた場合、会社が向かうべき方向性については間違っていないという確信を持っていたからです。
ではその方針を遂行してもらうために、ベトナム人スタッフが自信を持って動き続けてもらうにはどうするか?を考えた末に、上記の施策を実行することにしました。
その結果、半年後には、自信をつけた営業スタッフが、1人、2人と、目標達成をし始めました。
すると、他のスタッフからは「あいつも出来たんだから、不可能なことではないんだな。。私もやってみよう」と感化される環境が生まれ始めました。
ベトナム人スタッフとピントと合わせた組織づくり
この事例は、今まさに現在進行系のものになります。
今日もA社長は試行錯誤を重ねながら、少しづつ会社を成長させています。
先日、これまでの取り組みについての感想を伺ったところ、
「私の人生の中で、ダントツに難しい課題ですし、今なお試行錯誤は続けています。でも、ベトナムだからこその人間に対する理解が深まったという思いもあります。今は、現場レベルからの改善提案も上がってくるようになり、それが的を得ていることも多いです。私自身も、スタッフから学ばせてもらいながら、一緒に良い会社にしていきます。」とのことでした。
今回の事例が、皆様の事業·組織の「ピント」を合わせる際の参考になれれば幸いです。より具体的に本事例や類似事例を聞いてみたいという方は、下記の無料相談会にご登録いただければ幸いです。
Vol14は以上です。次回もよろしくお願いいたします。
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