【ベトナム現地化コラム】なぜベトナム人マネージャーの視点は個別最適に陥りがちなのか?

06-14-2026

在越日系企業の現地化推進、GOENと一緒に考えませんか。GOENでは、ベトナム在住15年超の知見と累計100社以上の支援実績から、現地化で悩む経営者の課題に向き合い、部門横断型の集合研修と次世代マネージャー育成プログラムで支援しています。

在越日系企業が直面する「バランス崩壊」の正体

在越日系企業で問題解決を図ろうとするとき、「会社全体のバランスが崩れる」という事態がよく発生します。

その原因の多くが、ベトナム人マネージャーが自部門の最適化だけを追い求め、会社全体の視点を失うことにあります。品質向上もコスト削減も顧客満足も——すべて正しい目標です。しかし、各部門が自部門の理想だけを追い求めると、全社的なバランスが一気に崩れてしまうのです。

謎を解く鍵は「スジ」と「量」の思考ギャップ

なぜ、このようなことが起きるのか。その背景には、日本人とベトナム人の思考体系の本質的な違いがあります。

日本人の思考:「スジ」から入る
「こうあるべきだ」という規範や理念を優先 – 完璧性と信頼構築を重視

ベトナム人の思考:「量」から入る
現実にどれだけの被害や影響があるか – 実際のコストと効果を基準に判断 –
自部門にとっての損得を優先する傾向

各ベトナム人マネージャーが「量(自部門の効果・コスト)」だけを見て判断すると、全体最適ではなく個別最適に陥るのです。

個別最適の罠:商社の支援事例

商社の支援事例を通じて、この問題を見てみましょう。

顧客クレームが発生した当該商社で、日本人経営陣が各部門長に「どう対策すべきか」と意見を求めたところ:

品質・納期管理部門: >
「顧客信頼が基盤。検査強化、納期余裕の増加、対応スタッフ増員を提案」

営業部門: >
「対策コストは競争力喪失につながる。現体制の維持、効率化を優先」

結果:
両部門とも自部門の視点からは「正しい判断」。しかし、会社全体のバランスを考えた判断がどこにもない——これが「個別最適の罠」です。

集合型研修による解決

この問題に気づいた日本人経営陣は、すべての部門長を一堂に集めた集合型研修を実施しました。

研修の狙い: – 各部門の意見の相違を可視化 –
経営陣の判断軸(全社的視点)を言語化・共有 –
ベトナム人マネージャーに「部門間での折衝と統合」を経験させる

研修での気づき:

部門長たちは、互いの立場を理解することで、「自部門だけの最適化では全社が機能しない」ことに気づきました。

研修後、以下の改善案が協働で導き出されました:

  • 品質・納期管理:「完璧さ」ではなく「リスク度に応じた対応」
  • 営業部門:「コスト最小化」ではなく「投資効果の見極め」
  • 全社的に:「3年~5年の経営成果」を判断軸として設定

結果、顧客信頼も守られ、コストも抑制され、利益も守ることができました。

ベトナム人マネージャー育成の必須条件

在越日系企業の事業成長を左右するのは、以下を実践できるマネージャーです:

  1. 判断基準を数字で定める
    許容できるリスク水準、コスト上限、投資効果期間
  2. 判断軸を全社的に定める
    中期経営計画における収益・競争力を軸に
  3. 月次レビューで軌道修正
    基準が機能しているか、投資効果が出ているか確認

GOENの集合型研修が重視される理由

各部門長を一堂に集めることで:

  • 経営陣の「全体最適の考え方」を言語化し、共有できる
  • ベトナム人マネージャーが「リアルな部門間の葛藤」を通じて学べる
  • 「全社視点で考える文化」を組織に植え付けられる

ベトナム現地化を本気で進めたい経営者の皆様、GOENが伴走パートナーとして一緒に考えさせていただきます。

*出典

『スッキリ中国論』田中信彦著、日経BP、2018年10月18日