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在越日系企業が陥る「ムダ削減」の罠
日系企業の海外進出における強みが、ムダを極限まで削ぎ落とした「リーン(筋肉質)」な組織づくりです。
しかし、ベトナムの現場でこの日本式の「リーン」を追求すると、ベトナム人マネージャーや社員のモチベーションが急激に低下し、離職につながるという事態がよく発生します。
なぜ、ムダをなくすことがやる気低下につながるのでしょうか。
謎を解く鍵は「スジ(リーン)」と「量(ファット)」
日本人の思考:「スジ」から入る
- 「無駄は悪」「効率化すべき」という規範を優先
- ムダを削ぎ落とした「リーン」な組織を理想とする
ベトナム人の思考:「量」から入る
- 自分にどれだけのメリットや「うまみ」があるかを判断基準にする
- 個人の役得や恩恵(脂肪分)が多い「ファット」な組織でモチベーションが保たれる
現地の社員は、給与だけでなく、役職の権限や家族への配慮など、「ファットなうまみ」があって初めてやる気を維持します。
日系企業がこれを「ムダ」として一律に削ぎ落とすと、社員は「この会社にいるメリットがない」と判断してしまうのです。
「ファットな組織」の極致:ハイディラオ(海底撈)の事例
この「ファットな組織」を究極まで追求し、圧倒的なサービスと低い離職率で世界的成功を収めているのが、中国発の火鍋チェーン「ハイディラオ」です。
彼らのマネジメントは、日系企業から見れば「究極のムダ(ファット)」の連続です。
① 徹底した権限の付与
- 細かなKPI(評価指標)を廃止
- 現場の一般従業員にも顧客に無料サービスを提供する権限を付与
- 自発的なサービスを引き出している
② 家族への直接ケア
- 従業員の実家の家族に対する経済的支援
- 従業員と家族に安心感を与える
③ 「弟子」を育てる利権
- 店長が育てた部下が独立した店舗からも報酬を得られる制度
- 人材育成を促進する強力なインセンティブ
④ 常識外れの実利の先払い
- 退職する従業員に多大な報酬を贈る制度
- ライバル企業への転職であっても、貢献への感謝を示す
ハイディラオは、この極端なまでの「実利の先払い」と「利権の譲渡」によって、従業員の「この会社のために本気で働く」という当事者意識に火をつけているのです。ベトナムでも順調に店舗数を増やしていることからも、この仕組みは機能していると言えるでしょう。
在越日系企業が目指すべきバランス
一般企業がハイディラオのように無限にコスト(ファット)を膨らませるわけにはいきません。コストが上がれば競争力を失います。
ここで必要なのは、各部門が目先の「うまみ」だけを奪い合う「取り引き」の姿勢から、部門間で協働して組織全体の利益を大きくし、結果的に自分たちの還元も大きくなることを理解する「取り組み」の姿勢への転換です。
例えば:
- 品質部門が「完璧さ」だけを求めず、営業部門と協働してバランスを取る
- 営業部門が「コスト最小化」だけを求めず、品質部門の必要性を認める
- 結果、両部門とも多くの裁量権と実利を得られる組織を実現する
ベトナムでの集合型研修が果たす役割
在越日系企業が成長するには、単に日本の「リーン」を押し付けることでも、現地の「ファット」に際限なく妥協することでもありません。
ベトナム人マネージャーたちに、目先の「ファット」を奪い合う姿勢から、協働してパイを大きくする姿勢への転換を促す——それが集合型研修の役割です。
ベトナム現地化を本気で進めたい経営者の皆様、GOENが伴走パートナーとして一緒に考えさせていただきます。