1. 「うちの会社らしさ」とは何か
「うちは“品質を大事にしている会社”です」
「お客様第一で動いています」
こうした言葉は多くの企業で聞かれますが、現場に行くとその意味が人によって違うことがあります。
ある人にとって“品質”は「不良ゼロ」、
別の人にとっては「顧客の期待を上回る体験」。
同じ言葉でも、定義が曖昧なまま共有されているのです。
これが、「うちの会社らしさ」が伝わらない最大の原因です。
2. 言語化されていない価値観は、継承されない
日本本社では、長い年月をかけて自然に形成された文化が存在します。
しかし、それをベトナム現地法人で再現しようとすると、うまくいかない。
なぜなら、日本では“空気で伝わる”ものが、海外では言葉で伝えないと伝わらないからです。
たとえば「報連相を大事にする」という価値観も、
「上司への連絡を怠らない」なのか、「チームで情報を共有する」なのかで意味がまったく違う。
だからこそ、マネージャーが“自分の言葉で語れる文化”をつくることが重要です。
3. マネージャーが“文化の翻訳者”になる
階層別研修の目的のひとつは、マネージャーがこの“文化の翻訳者”になることです。
経営が語る「理念」や「行動指針」を、自部署の日常業務にどう落とし込むか。
それを「言語化」し、メンバーに伝え、行動として定着させる。
たとえば、
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「品質を守る」=“問題が起きた時に、隠さず共有する文化”
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「チームで動く」=“他部署の成功を喜べる姿勢”
といったように、言葉を行動に翻訳する力が求められます。
4. 文化の一貫性が、組織の信頼を生む
「会社の方針がよく変わる」と感じる社員が多い組織には、
実は“文化の言語化”が不足しています。
言葉として価値観が明確になっていれば、多少の戦略変更があっても、社員は迷いません。
現地マネージャーが「うちの会社らしさ」を自分の言葉で語れるようになると、
その言葉がチームに染み込み、組織に一貫した判断軸が生まれます。