1. 日本式「報連相」はそのままでは機能しない
日本企業では、「報告・連絡・相談(報連相)」が組織運営の基本です。しかしベトナムでは、この仕組みがうまく回らないケースが多く見られます。日本人マネージャーは「もっと報告してほしい」と感じ、現地スタッフは「細かすぎる指示が多い」と感じる。双方のフラストレーションの根底には、“報連相の目的の違い”があります。
2. 日本は“上司の判断を助ける”、ベトナムは“結果を伝える”
日本の報連相は「途中経過を共有し、上司の判断を仰ぐ」文化に基づいています。一方、ベトナムでは「結果が出たら報告する」のが一般的。したがって、進行途中での相談が少なく、上司から見ると“いきなり完成物が出てくる”印象になります。このズレを責めるのではなく、目的をすり合わせることが現地化の第一歩です。
3. “定期報告”より“会話ベース”の共有へ
週報や日報などの形式的な報告を義務化しても、形だけになることが多いもの。むしろ、短い対話をこまめに挟む方が効果的です。たとえば「今どこまで進んでる?」「何が一番難しい?」と、気軽に話せる空気づくりを意識する。報告の“制度”ではなく“関係性”が鍵になります。
4. “相談=弱さ”という誤解を解く
多くのベトナム人スタッフは、「相談する=自分の能力が足りない」と感じがちです。上司が「相談は判断力の一部」と繰り返し伝え、相談しやすい雰囲気を作ることで、報連相はようやく機能します。つまり、制度より心理的安全性が先に必要なのです。
ベトナム現地化経営まとめ
報連相を押し付けるのではなく、現地の習慣に合わせて再設計する。
“報告の義務”から“共有の文化”へ。
日々の小さな会話を積み重ねることが、信頼と自走を生む最大の仕組みになります。