ベトナム現地化経営コラム:「“教える”より“気づかせる”育成へ」

10-06-2025

1. 教育の壁:教えても定着しない理由


ベトナムでマネージャーとして働く日本人にとって、現地スタッフの育成は避けて通れない課題です。多くの日本人管理職が「丁寧に教えてもなかなか定着しない」「同じミスを繰り返す」と悩みます。しかし、その背景には“教える文化”の違いがあります。日本では「教える=守らせる」傾向が強く、失敗を防ぐことが目的になりがちです。

2. ベトナム人材の学び方:考える自由が動機になる


ベトナムの若い世代は「考えながら学ぶ」ことを好み、自分なりのやり方を試せる環境にやる気を見出します。そのため、上司が過度に指示を出すと「考える機会を奪われた」と感じ、受け身になってしまいます。これは日本人の「丁寧に教える=親切」という意識が、かえって主体性を下げる結果を生む典型的な例です。

3. 研修よりも対話:答えを与えず、気づきを引き出す


現地化を進めるうえで鍵となるのは、「教える」から「気づかせる」への転換です。例えばスタッフがミスをした際、すぐ答えを示すのではなく「どうしてそうなったと思う?」「次はどうすればいい?」と問いかける。時間はかかりますが、自ら原因を考える習慣が身につき、やがて“自走できるチーム”へと変わります。

4. 教育の本質:小さな成功を見逃さない


ベトナム人スタッフは承認欲求が高く、「上司に認められた」という実感が次の成長の原動力になります。上司は完璧を求めるよりも、できた点を見つけて公に称賛することが大切です。小さな成功を共有することで、チーム内に前向きなエネルギーが循環します。

5.ベトナム現地化経営まとめ


現地化とは、日本式を押し付けることではなく、ベトナム人が持つ柔軟さと主体性を最大限に引き出すことです。指示や研修の“量”よりも、考える“余白”を与えることこそが、人を育てる教育です。マネージャー自身が「教えることを手放す」勇気を持てたとき、現地スタッフは自ら学び、自ら動く力を発揮します。