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1. ベトナム人社員教育の第一歩は「役割の再定義」
「うちのマネージャーは、まだ“プレイヤー”として動いている」
ベトナム現地法人の日本人駐在員から、よく聞く言葉です。
これは珍しいことではありません。
多くのベトナム人マネージャーは、昇進後も“自分で動いて成果を出す”スタイルから抜け出せず、
「自分の役割が変わった」という意識転換ができていないのです。
ベトナム人社員教育で最初に行うべきことは、スキル研修ではなく、
「自分の仕事とは何か?」を再定義する機会をつくることです。
2. 階層別研修で“役割”をそろえる意義
階層別研修の本質は、「上司」「リーダー」「メンバー」それぞれが
どの役割を担うのかを明確にすることです。
| 階層 | 主な役割 | 成果の基準 |
|---|---|---|
| 経営層 | 方向性を決める | 組織の持続的成長 |
| マネージャー | チームで成果を出す仕組みをつくる | チームの成果・改善 |
| リーダー | メンバーを支え、現場を動かす | チームの安定稼働 |
| スタッフ | 指示を理解し、正確に実行する | スピード・正確性 |
このような表を使って研修を行うと、ベトナム人社員は
「自分がどこまで考えるべきか」「どこから上司に相談すべきか」を明確に理解できます。
つまり、“上下関係”ではなく“役割関係”をそろえることが、
組織全体を動かすための前提条件なのです。
3. ベトナム人マネージャー育成に必要な“切り替え”の教育
プレイヤーからマネージャーに昇格するとき、最も難しいのは、
「自分でやった方が早い」という感覚からの脱却です。
ここで有効なのが、“業務の棚卸し”を行う教育です。
具体的には、階層別研修の中で次のような問いを立てます:
「この仕事は“自分がやるべき仕事”ですか?
それとも“任せるべき仕事”ですか?」
この問いを通じて、ベトナム人マネージャーが
“やる仕事”から“動かす仕事”へと意識を転換することができます。
これが、自律型組織への第一歩です。
4. 現地化経営の鍵は、“役割の翻訳者”を育てること
現地化経営の成否を分けるのは、単にベトナム人を登用することではなく、
役割の意味を共有できるマネージャーを育てることです。
役職名の翻訳ではなく、“役割の翻訳”を行う。
たとえば、「マネージャー=管理職」ではなく、
「チームの成果を出す仕組みをつくる人」という共通理解を持つ。
その共有を進めるのが、階層別研修の本当の価値です。