見えているつもりで、実は見えていない
ベトナム現地法人でよくある悩みの一つが、「ベトナム人管理職が自律的に動かない」というものです。その原因を突き詰めていくと、意外なところにたどり着くことがあります。それは、「目標が見えていない」ということです。
「目標は共有済みです」「毎月報告会もしています」と言うマネージャーほど、要注意です。日本人の「分かっている」と、ベトナム人の「伝わっていない」は、現場で大きくズレるのです。
書かれていない目標は、存在していないのと同じ
ある製造業の例です。日本人管理者が「今期の目標は不良率3%未満だ」と口頭で伝えていたにもかかわらず、現場のベトナム人マネージャーたちは「月末の数字報告が大事」としか受け取っていませんでした。なぜか?目標が明文化されていなかったからです。
「言ったことは伝わった」は日本人側の思い込みです。数字・納期・責任者が明文化され、壁に貼られていて、進捗が可視化されていて、初めて目標は“存在している”のです。
なぜベトナム人マネージャーは目標を「書かない」のか?
これは文化的背景に根ざしています。
ベトナムでは学校でも職場でも「与えられた課題をこなす」教育スタイルが主流であり、「目標を立てる」「見える形にする」という訓練はほとんど受けていません。そのため、言葉で話せても紙に落とし込むのが非常に苦手です。
だからこそ、日本人マネージャーは「書く文化」を現場に持ち込む必要があります。目標を文字にし、見える場所に貼り、毎週確認し、ズレがあればその場で修正する。これは単なるマネジメントではなく、“教育”です。
目標が見える組織は、自律する
「目標の可視化」は自律型組織の第一歩です。G-PDCAでいう“G”があいまいなままでは、PもDもCもAも曖昧になっていきます。逆に、目標が具体的に定義され、全員が“見えて”いれば、人は自分で考え、判断し、動き始めます。
現地化とは、単に仕事を任せることではなく、「目標のつくり方」「目標の持ち方」まで教えるプロセスです。見える目標が、動けるチームをつくります。