ベトナム テト(旧正月)後の離職を防ぎ、成長を促す面談

03-18-2024

ベトナムで頻発するテト後の離職問題

「私の評価はこんなものじゃない、

もっと評価されてもいいはずです!

根拠をもっと明確にしてください!」

 

これは、ある企業の評価面談時のベトナム人女性からの発言です。

その後は退職してしまったとのことです。

企業における「社員の評価」GM,マネージャーにとって、

非常に悩ましい課題の一つです。

なぜなら、どれだけ論理的に定量的に評価基準をまとめたとしても、

最終的には上司の主観的な評価が入らざるを得ないからです。

京セラの故・稲盛和夫名誉会長も、著書『経営のこころ』(PHP研究所)

の中でこう述べています。

「『人を評価するということぐらい難しいことはないのです。非常に難しく、やりにくいから、何かルールをつくって客観的な評価をする方法はないかと考える。そうすればトップである自分が悩まなくても、若い役員でも、また部課長でも決められます。しかしこれはやっても、すぐに矛盾が出てきてしまいます。だいたいそういうルールは何年も使えません。もし「ルールをつくってうまくいっています」という企業があれば、うまくいっているのではなく、うまくいっているように思っているだけです」。と。

ベトナム人社員の離職を防ぎ、成長を促す施策

冒頭の発言をしたベトナム人社員は会社としても

期待している若手社員であり、本来やめてほしくない人材でした。

しかし、会社として、本人の自己評価をそのまま

受け入れるわけにはいきません。

ただでさえ、ベトナム人の皆様は自己評価が高い傾向にあります。

本人も評価結果にきちんと納得し、その後の本人の成長につなげてもらうには、

どうすればいいのでしょうか?解決策の1つとなる取組が「1対1面談」です。

日本ではYahoo Japan!が先駆的に取り組み始め、

現在では日系大手企業を中心に定着しています。

その有効性から、ベトナムでも、取り組み始めている

企業が増えてきています。

実際に弊社のお客様もIT企業様、飲料メーカー様をはじめ、

1対1面談導入のお手伝いをさせていただいています。

ベトナムにおける1対1面談の効果

ではベトナムの日系企業で導入が始まっている1対1面談について、

各社は何を狙いとして、どんな効果を期待しているのでしょうか。

本コラムでは2点紹介します。

①自己評価と他者評価のギャップを本人に認識してもらう

1対1面談導企業は、少なくとも四半期の1回、

年に4回は上司と部下間で面談をします。

査定を含む評価面談は、年に1回のテト前に実施します。

その前に最低3回の面談を行います。

そうすることで、自己評価だけではなく、

他者評価(=上司評価)と、その間のギャップも

本人の知るところになります。

期首の早い段階で、このギャップを知ることで、

本人も評価結果を受け入れやすくなります。

更に、上司から何を期待されているかを知ることになるため、

その後の本人の成長にもつなげやすくなります。

②上司が部下を叱る場ではない。では何か?

これは、私が面談研修の企画時に気づいたことです。

それは、ベトナム人の皆様にとって通常、面談というと

「上司が部下に対して厳しくフィードバックをするもの」

というイメージを持っているということです。

そのため、事前に会社からのトレーニングがなく、

ただただ「面談をしましょう!」といって面談を始めると何が起きるか。

それは「上司がひたすら部下の改善点を指摘し続ける」面談になります。

そんな面談には、どんな部下でも参加したくありません。

むしろしないほうがよいです。

本当の狙いは上司側の「傾聴力」を鍛えることにあります

傾聴とは、相手を否定せず、ひたすらに相手が言いたいことと、

その心を聞くことにあります。この「傾聴」という行為、

実はかなり難しいスキルです。特にベトナム人のデキる上司ほど、

部下の話は聞きたがらない傾向にあります。なぜなら、

「自分の方ができると思っている

=部下の話は聞くに値しないと思っている」

からです。しかし、弊社が面談研修の企画のために、

複数企業のベトナム人マネージャー、スタッフに

インタビューをさせていただいたところ、

できる上司ほど、部下が育っておらず、

いつまで経っても上司だけが忙しいという部署がほとんどでした。

反対に、プレーヤー時代はそれほど卓越した成果を上げていなかったとしても、

傾聴ができるマネージャーほど、その部署の成果は良い傾向がありました。

なぜなら、部下が頑張ってくれるからです。

以上2点が、ベトナムで1対1面談を実施する際の期待する効果になります。

「あなたが言うんだったら」という関係性の構築

以上が「社員の離職を防ぎ、本人の成長を促すための面談」

の実例になります。

これまで弊社は30社以上の企業様に

面談研修の企画、運営を担当させていただきました。

その上で、上司と部下間で面談を行うことによる

最大の効果は両者の「信頼関係」の構築に

尽きると考えています。

冒頭に、上司からの評価結果に納得できずに

辞めてしまったベトナム人社員の事例を紹介しました。

一方、会社の評価というのは、突き詰めると担当する

上司の主観的な評価が入らざるを得ません。

その中で、部下が心から納得し、成長をしてもらうには、

最終的には「(上司である)あなたが言うんだったら納得します」

と部下側が前向きに考えてもらえる関係を作れているか?

に尽きます。言うは易く行うは難し。

もし面談を会社の制度として取り入れたいと

お考えの方がいらっしゃいましたら、

更に詳しい事例を紹介しますので、

ご一報頂ければ幸いです。今回のコラムは以上です。

次回もよろしくお願いいたします。

 

 

 

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