事業成功の真髄〜京セラの発展とJAL再生の事例から〜

02-06-2024

お世話になっております。
GOEN ビジネストレーニングの川村です。

本コラムは【今いる人材で非凡な成果を上げる組織のつくり方】をテーマにベトナムにおける事業・組織づくりにお役立て頂ければと思い、配信いたします。

今回は事業成功の真髄です

1.ベトナムでも生かせる!事業成功の真髄とは?

「動機善なりや、私心なかりしか」。この言葉は、現在のKDDIを創業した稲盛和夫さんが、前身の第二電電を創業する際に、自らに半年間問い続けたものとして、広く知られています。稲盛和夫さんは、言わずとしれた「経営の神様」です。京セラ、KDDIを世界的大企業に育て上げ、晩年は、たった2年間で、巨大企業JALの再生を成し遂げた日本の経営史に残る偉大な経営者です。その影響力は日本のみならず、中国をはじめ、アジアにも広がっています。最近ではベトナム語でも著作が翻訳されベトナム人経営者の間でも人気になっています。私もベトナムで事業を営む経営者の端くれとして、日々学ばせてもらっています。その中で、ご縁をいただき、先日、京都にある京セラ本社に併設されている「稲盛ライブラリー」に現役のJALの社員の方たちと伺う機会に恵まれました。このライブラリーで、ご案内役の方から「事業成功の真髄」を教えていただくことになるとは最初は思ってもいませんでした。。。

2.「戦略的に行ったM&Aの結果は。。。」

「稲盛ライブラリー」は稲盛さんの人生を辿りながら、その節々での困難にどんな考え方をして、対処をしてきたのか、そこで得た学びは何だったのかが稲盛さんが遺した日記や音声を交えて展示されていました。私が特に学びを得た内容が、京セラのM&Aのお話でした。今では京セラは積極的なM&Aを行っている企業ですが、初めてのM&Aを行った時期が1979年のサイバネット工業の買収でした。以下、著作からの抜粋です。

 

サイバネット工業という、トランシーバーを製造販売していた企業がかつてあった。一九七〇年代、アメリカでシチズンバンド(市民無線)と言われる無線通信が爆発的に普及し始めたのに伴い、急成長を遂げた。しかし、単品生産で一気に伸びていった企業にありがちなリスクをはらんでいた。実際に数年後、トランシーバーの規格変更と日本からの輸入規制が始まり、それまでアメリカのバイヤーから、矢のような催促を受けてフル生産していたのが、一転、注文が途絶えてしまった。三カ所の工場、二六〇〇名の従業員を抱えていたサイバネット工業は窮地に陥ることになった。そのため、京セラに救済要請があったのだ。私はサイバネット工業の社長とお会いし、従業員を助けてほしいという、その思いに強く心を打たれた。またその会社の幹部たちと酒を酌み交わし、一緒にやれる方々だという思いを強くもした。それは、サイバネット工業を助けてあげることは人助けであり、人間として正しいことであると考えたからである。(出典:稲盛和夫. 新版·敬天愛人 ゼロからの挑戦 (PHP出版)

その後、大きな困難に見舞われながらも、京セラグループの一員として無事に再建に成功し、今では京セラを支える屋台骨となっているとのことです。ここから更に続きがあります。その後、稲盛さんが、助けを請われて行ったM&Aは数件あり、それは全て成長を遂げているとのこと。一方、稲盛さんが引退し、他の担当者の方が頭を使って「戦略的に」行ったM&Aもあります。しかし、不思議なことに、その後、思った以上には成長していないとのことでした。

3.「人間として正しいかどうかで判断する」

この事例から学べることは「動機が善であること」の重要性です。

·「動機が善なりや、私心なかりしか」を半年間、自らに問いかけた上での第二電電発展の歴史。

·「人助け、人間として正しいこと」であると考えた上でのM&A

更に最後に、JALの再建現場で起こった事例を紹介したいと思います。

 

「人間として何が正しいかで判断する」。JALに着任して一カ月ほどたったころ、幹部たちを集めた会議の冒頭で、稲盛さんがこの言葉を口にされたことがあります。ただ、ここで思いがけないことが起こったのです。あろうことか、この言葉に対して、稲盛さんに反論するJALの幹部がいたのです。「稲盛会長、それは当たり前の話ではありませんか?私たちJALにしても、つねづね正しいことをしているという認識で判断してきたのですから」「稲盛会長は、私たちJALが、正しくないことをしているという認識で判断してきたと疑っていらっしゃるのですか?」私は正直、耳を疑いました。しかし、ここで稲盛会長が返事をしました。「自分が正しいと思ったからと言って、正しいと判断してはならない。誰が正しいかではなく、誰から見ても正しいというものがあるのではないか。普遍的に正しいもの、それはきっとあるはずだ。」「端的に言えば、私心をさしはさまずに考えられるか、どうか。自分というものを無にして考えられるか、どうか、だ」JALの幹部たちが、つねに正しいことをしているという認識で判断してきたことは事実だと思う。ただやはり人間として正しいことができていなかったからJALは倒産したのではないか。JALの幹部の誰もがそのことを真摯に受け止めて反省することが、再生のスタートとなるはずだ。」

(出典:大田 嘉仁. 稲盛和夫 明日からすぐ役立つ15の言葉 (三笠書房)

4.「稲盛さんは生き方を教えてくれた」

以上が私が実際に稲盛ライブラリーに訪問し、京セラの皆様、JALの社員の皆様と対話の中で得た学びです。特に訪問後の懇親会の場で、JALの社員の方が「JALは一度潰れて本当に良かった。そのお陰で稲盛さんと出会え、会社員としてだけではなく、一人の人間として正しい生き方を教えてくれたからです。」とおっしゃっていたことが強く印象に残っています。私自身、目先の利益に追われて、曇った判断をしてしまったことはこれまでありました。その場ではなんとか収まりますが、不思議とその後に大きな問題となって返ってくることも経験したことがあります。やはり、動機が不善、人間として正しくない判断をすると、それが自分にどんな形であれ返ってくるのだと改めて学ばされた次第です。

 

長くなりましたが、本コラムは以上です。ベトナムは間もなくテト休暇に入ります。ベトナムで働く日本人の皆様にとっては、これまでを振り返り、テト明けをどうしていくかを考える絶好の機会かと存じます。もしご興味があれば、下記の本など休暇中にご一読ください。きっとたくさんのヒントが見つかると思います。

『新版·敬天愛人 ゼロからの挑戦

『稲盛和夫 明日からすぐ役立つ15の言葉』

以上です。

ここまで読んでいただきまして、誠にありがとうございました。

テト明けもどうぞよろしくお願いいたします。

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